はじめに製造業における販売管理では、受注から仕入れ、請求など、多岐にわたる業務をミスなく迅速に連携させることが重要です。注文や納期の変更等にも迅速な対応が求められる中、複数の部署にまたがる業務フローであるため、情報の伝達や共有に時間がかかったり、ヒューマンエラーが発生したりするリスクも内在しています。これらの課題解決のためには、販売管理システムを導入するのも一つの手段です。そこで本記事では、販売管理システムの概要、製造業における導入メリット、導入する際の注意点などを解説していきます。【データ活用で加速する製造業DX】お役立ち資料無料ダウンロードは→こちらから販売管理システムとは?販売管理システムとは、受注から製造、販売までの一連のプロセスにおける業務の流れを適切にコントロールするためのシステムです。具体的には、見積書の作成や送付、(原材料などの)在庫引き当てや倉庫間移動、出荷先・請求先管理、請求書作成、入金記録など、販売にかかわるさまざまな業務を一元的に管理し、販売業務プロセス全体の状況を俯瞰的に把握することで業務効率化を図ります。販売管理システムの主な機能としては、「販売管理」「在庫管理」「購買管理」の3つの機能に大別されます。それぞれ簡単にご紹介します。・ 販売管理機能主に販売業務におけるお金の流れを管理する機能です。商品販売時に発生する「見積」~「受注」~「請求」~「入金」の一連のプロセスにおける見積作成やその検索、見積から受注伝票への転記、売上データの作成などの業務を効率的に管理する機能です。・ 在庫管理機能商品の出荷や在庫状況など販売業務におけるモノの流れを管理する機能です。商品を製造するための仕入れた材料の入荷予定把握や実際の入荷数の把握、現在の在庫状況の確認や在庫の調整、倉庫間移動、棚卸の管理や登録などの機能を持ちます。・ 購買管理機能主に原材料や部品の仕入れや支払いにおけるお金の流れを管理する機能です。販売管理機能が「商品の販売先」とのお金の流れを管理するのに対し、購買管理機能は「仕入れ先(外注先)」とのお金の流れを管理します。販売業務と同様に、見積や発注、支払などの業務フローを一元管理し、適切な原価管理を行うための機能です。製造業が販売管理システムを導入するメリット製造業にとって、販売管理システムは各部門の販売情報を一元的に管理することで、属人化の防止や有効なリソースの確保など業務の効率化をはじめ、顧客ニーズの理解や迅速な顧客対応を実現など、さまざまなメリットを享受できるシステムです。ここでは、製造業が販売管理システムを導入するメリットを7つご紹介します。① データの一元管理による業務効率化販売管理システムの導入は、データの一元管理による業務効率化を実現できる点がメリットのひとつです。データの一元管理とは、複数の情報やデータを一か所に集約し、決められた方法で管理することを意味します。例えば、受注を担う営業部門と、製造部門や販売部門で商談~受注、納品までの販売情報が適切に共有できていないと、誤納品や納期遅れなどが発生し、顧客からの信用を損なってしまいかねません。販売管理システムの導入によって営業活動から製造・販売まで社内情報を一元的に管理できるようになれば、誤納品や納期遅れの防止はもちろん、スムーズな情報共有による業務効率化や迅速な顧客対応によって顧客満足度の向上が期待できます。また、部門間で適切に販売情報が共有されていると顧客ニーズの理解がしやすくなり、顧客が求めている製品やサービスの予測も立てやすくなるでしょう。② 「業務属人化」から「業務標準化」への移行多くの製造業において、一部の従業員による業務の属人化(=特定の個人でなければその業務を遂行することができない状態)が課題となっています。業務の属人化が進行すると、業務品質や生産性に個人差が生まれてしまったり、その従業員の休職や退職で業務が滞ってしまい事業の継続そのものにも支障が生じたりするケースもあります。販売管理システムの導入は、「業務属人化」から「業務標準化」への移行に有効な方法です。具体的には、個人の経験や勘に頼った業務遂行からデータに基づく業務マネジメントへの移行が可能になり、一定の経験を有する社員ならだれでも同じように業務を進めることができるようになります。③ ヒューマンエラーによる製造業務のロスを防止製造業において、業務ロスになるヒューマンエラーは解決したい大きな課題です。例えば、受注見積業務において手動でのデータ入力が行われている場合、数字の打ち間違いや情報の欠落といったミスが発生することが考えられます。初期段階でこのようなエラーが発生してしまうと、エラー情報を基に製造や請求などの業務が行われることになり、結果として企業の業績や顧客満足度に大きな影響を与えてしまいかねません。販売管理システムを導入して入力作業を自動化し、作業手順を標準化すれば、ヒューマンエラーが減少し、製造業務のロスを削減することができます。また、システム内で情報が一元的に管理されることにより、部門間の情報共有漏れや情報伝達ミスなどの防止にもつながります。④ ペーパーレス化で紙作業の工数、コスト、書類の保管場所を削減紙の書類で業務フローを動かしている場合、書類の紛失や保管場所の確保など、さまざまなリスクや経費が発生します。販売管理システムの導入により、紙帳票のペーパーレス化(資料や帳票などをデジタル化)が可能となります。これにより、書類紛失のリスク低減や紙の使用量減少、書類の保管場所が不要になるなどの経費削減を図ることができます。同時に、書類管理の手間や紙への記入作業といった労力コストの削減にもつながります。さらに、ITデバイスの導入と併せていつでもどこでもデータを閲覧できる状態にすることで、業務プロセスの効率化にもつながります。⑤ 少額大量注文にも柔軟・迅速に対応可能に紙ベースでの業務フローの場合、その煩雑さゆえに少額大量生産(受注)に対応できないこともあります。大量の紙帳票のデータ入力と保管などにリソースを割いてしまい、顧客からの問い合わせにも時間がかかってしまうと顧客満足度の低下を招きかねません。システム化によりアナログな業務フローから脱却し、帳票作成などの業務をデジタルに移行することで、少額大量注文にも柔軟・迅速な対応ができるようになります。⑥ リアルタイムに正確な収益・需要予測を立てられる製造業では、無駄な在庫を抱えることは経営にとってマイナスです。そのため、適正な在庫の維持管理が課題となります。「適正な在庫管理」は需要予測を基に計算されるため、リアルタイムに正確な需要予測を反映させることが重要です。販売管理システムの導入でリアルタイムに顧客情報や取引履歴が更新されるようになれば、精度の高い需要予測が可能になります。過去の受注〜請求の流れを適切に管理することで需要予測を導き出すことができれば、適正な在庫を確保する事が可能となり、販売の機会損失や過剰在庫の防止にも活用できるでしょう。⑦ 経営状況の可視化により経営判断を迅速化受注や納品状況をはじめ、仕入れや在庫状況に関する数字は経営に直接関係するデータです。販売管理システムによってリアルタイムに数値が更新され、プロセスが「見える化」することにより、経営状況の可視化が可能となります。例えば、材料の一括仕入れや物流ルートの確保など、さまざまな経営判断を迅速に行うために必要なデータを販売管理システムから即座に抽出するといったことができます。【データ活用で加速する製造業DX】お役立ち資料無料ダウンロードは→こちらから製造業がアナログな販売管理を続けるデメリットでは、製造業において、紙ベースなどのアナログな販売管理を続けると、どのようなデメリットが起こるのでしょうか?ここでは4つの視点で解説します。・ 情報管理・情報共有におけるリスクメモや連絡帳、FAXなどでのアナログな方法での情報管理は、紛失や誤廃棄による情報漏洩のリスクが高まります。社内の業務情報はもちろん、顧客情報が適切に管理されていない状況は、企業にとって大きなマイナスです。一度でも情報漏洩が起これば、企業の信用は大きく損なわれます。また、情報の改ざんや不正に気づきにくいのも紙などのアナログな管理方法のデメリットです。紙だと書き換えや消したりといった行為が容易にできますし、無断で上長の承認印を使ったりといったことも起こり得ます。製造業においては、販売情報を社内や部門間で共有できていないと、誤納品や納期遅れなどが発生し、顧客からの信用を損なうリスクもあります。・ 煩雑なExcelでの管理から抜け出せない製造業において、見積もりや受発注、請求、入金などの業務をExcelで行っている企業は多いでしょう。Excelには便利な関数がありますし、自動計算を組み込むことも可能ですが、作業工数を減らすにも限界があります。Excelファイルが増えると管理が煩雑になってしまい、目的のファイルを探すのに時間がかかるなど、業務効率が低下してしまいます。ファイルサイズが増えると動作が重くなるのもExcelで管理するデメリットで、ファイルが開くまでに時間がかかったり、PCのスペックによっては頻繁にフリーズしたりすると、業務に支障をきたします。また、社内でExcelを使いこなせる人材が限られている場合、属人化してしまう恐れもあります。担当者が不在時に業務が滞ってしまったり、ファイルの場所がわからなくなったり、業務に支障が生じた経験をされた方も多いのではないでしょうか。情報共有の面においても、Excelに頼った管理方法にはデメリットがあります。Excelではリアルタイムで社内や社外と共有できないため、顧客対応や意思決定がどうしても遅れてしまいます。・ 業務フローの可視化が困難業務フローの可視化とは、業務の流れを「見える化」するということです。業務フローの可視化によって、どのプロセスで非効率な作業やムダな作業が発生しているのかといった問題点や課題を洗い出します。業務プロセスの多い製造業において、業務フローの可視化は業務効率化に欠かせませんが、アナログな販売管理方法では、企業全体、あるいは社内外を含めた組織全体の業務フローを可視化するのには限界があります。・ 時代の変化や法改正への対応が遅れるインボイス制度などの法改正があった際、紙ベースのアナログな販売管理方法だと、フォーマットの変更に非常に多くの工数がかかります。特に帳票の多い製造業では、バックオフィス業務への負荷増大は避けられません。こうした法改正や時代の変化に遅れを取らず、迅速かつ柔軟に対応するには販売管理のデジタル化が不可欠です。製造業が販売管理システムを導入する際のチェックポイント製造業が販売管理システムを導入する際、どのような点に注意すればよいでしょうか?販売管理システムの導入フェーズでは、業務改革を伴い企業活動への影響が大きくなってしまうこともあるため、事前にシステムの構成や特徴をしっかりとリサーチし、自社の状況と照らし合わせながら進めることが重要です。ここでは、販売管理システムを選定する上で重要となる主なチェックポイントを解説します。□ 自社の業務(製造業務)に必要な機能を備えているか導入候補の販売管理システムが、自社の販売管理プロセスに必要な機能を過不足なく備えているかチェックしなければなりません。機能が不足していないかのチェックはもちろん、自社には不要な機能が多すぎないかもチェックしておきましょう。不要な機能が多いと操作が煩雑になり、コストも増えてしまいます。□ 企業の希望に沿える提案力と柔軟な対応力があるか標準機能やパッケージ機能にはない、企業独自の希望に沿える提案力があるかもチェックしておきたいポイントです。要件の趣旨を理解したうえで最適な提案をしてくれるかをチェックしておきましょう。ただ、システム的に企業の要望に100%応えるのが難しいこともあります。その場合でも、代替提案ができる柔軟な対応力があるベンダーだと心強いです。□ 商談から販売・出荷・請求、さらには、アフターフォローまで一気通貫で管理できるか販売活動はもちろんのこと、その入り口である営業・マーケティング活動からアフターフォローまで、一気通貫で情報を一元化できるかどうかも重要な視点です。具体的には、顧客マスタや商品マスタ・商談履歴などさまざまなマスタや営業情報を集約し、 関係する各部門のデータを連携して可視化することでより、業務効率化、及び顧客対応スピードの迅速化を図る事ができます。更には、納品情報やメンテナンス契約、修理履歴等のデータも連携し、アフターフォロー含めた業務プロセスも一気通貫で管理する事で、業務対応品質の向上や顧客満足度向上に役立てることができます。□ 時代や市場の変化や法制度に対応できる柔軟性があるか近年ではインボイス制度や改正電子帳簿保存といった法改正が相次ぎ、企業を取り巻く環境も大きく変化しています。販売管理システム選びにおいては、このようなトレンドや社会の変化のスピードに追従できるシステム(ベンダー)を選定したほうが安心です。法改正に迅速な対応しているかはもちろん、ベンダー側に最適な提案力、確かな技術力・実装力・トレンド対応力などがあるかどうかも判断の材料となります。□ 業務の必要性に応じて他サービスとの連携や拡張ができるか販売に関する情報を一元管理するためには、CRM/SFA/ERPなど既存のシステムとの連携を行う必要があります。また、単体で導入する場合でも、管理する業務範囲の拡大を想定してシステムの拡張性を意識しなければなりません。Salesforceを利用している企業であれば、販売管理システムとの連携が可能かどうかは業務フローに大きく影響するでしょう。Salesforceに限らず、他サービスとの連携や拡張性についての実績及び事例の有無は、販売管理システム導入の参考材料として把握しておく必要があります。□ 導入前、導入後のサポートが充実しているか導入前の綿密な打ち合わせやシミュレーションを実施してくれるかなど、サポートの内容は必ずチェックしておきたいポイントです。いざ本番環境に実装してみたらエラーで販売管理業務がストップしてしまった…といった事態が起こらないように、導入前に徹底したサポートをしてくれるベンダーを選びましょう。導入前だけでなく、導入後に運用サポートを受けられるか、不具合が発生した際に迅速に対応してくれるかなど、アフターフォローの充実度も重要です。販売管理システムは導入してからが本番ですので、導入後もきめ細かな対応をしてくれるベンダーを選定することをおすすめします。営業活動から基幹系業務まで一気通貫で管理できる「Fujitsu GLOVIA OM」「Fujitsu GLOVIA OM」は、Salesforceプラットフォーム上で販売管理・購買管理・在庫管理・フィールドサービス管理を実現できる国内唯一のソリューションです。「Fujitsu GLOVIA OM」には、SFA/CRMとのシームレス連携で業務効率化を図ることができるのをはじめ、以下の4つの大きな特長があります。特長1:ボタン一つで商談から受注までシームレスに連携「Fujitsu GLOVIA OM」は、販売、購買、在庫管理など、基幹となるビジネス機能を網羅したクラウド型の販売管理/在庫管理システムです。SFA/CRM分野で大きなシェアを占めるSalesforceとシームレスに連携し、商談から見積~受注への情報連携をボタン一つで実現できるシステムを備え、効率的な業務遂行をサポートします。営業活動から販売・出荷・請求までの基幹業務を一気通貫で管理し、顧客情報と受注や出荷情報を自動で容易に紐づけることにより、作業工数を削減できます。また、Salesforce導入済みの企業であれば、使い慣れた画面レイアウト上で基幹業務も運用できるため、今までと変わらない操作性でシステム移行することで新システム導入にかかる教育コストを抑えられます。特長2:市場変動や法的要件に迅速に対応、ビジネス成長を持続的に支援「Fujitsu GLOVIA OM」は、製造業だけでなく幅広い業種に対応する標準機能を搭載しています。企業の成長や変化に合わせてカスタマイズできる柔軟性を持ち合わせており、長年培われた業務プロセスに合わせた仕組みを構築できます。法改正にも迅速に対応しており、例えば、2023年の改正電子帳簿保存法やインボイス制度に対応した機能をリリースしています。利用企業の声を活かした新機能の追加や改善を継続的に行うなど、事業成長を持続的に支援します。特長3:顧客軸で関連するあらゆるデータの一元管理が可能にさまざまなシステムにデータが分散する従来の形式と異なり、「Fujitsu GLOVIA OM」は営業活動から販売、購買、出荷、アフターフォロー等に至る一連の業務プロセスで発生するデータを顧客軸でまとめて管理することが可能です。顧客の受注履歴、出荷実績、返品、メンテナンス契約、修理履歴等の情報をSalesforce上で統合・管理することで、迅速な顧客対応を支援します。早い市場の流れに遅れを取ることなく、迅速な意思決定を行うためには、必要な情報を即座に取得できる環境が必要です。「Fujitsu GLOVIA OM」を活用することで顧客情報や取引履歴などがリアルタイムに更新・可視化され、データドリブンな経営判断が可能になります。特長4:サプライチェーン全体との情報伝達をスピーディーに促進取引先や販社、支店などサプライチェーン全体とリアルタイムで正確な情報伝達を実現できるのも「Fujitsu GLOVIA OM」の特長です。既存のプロセスが変わってしまうと導入負担が大きくなってしまいますが、Salesforceプラットフォーム上で動作する「Fujitsu GLOVIA OM」なら、既存の仕組みに手を加えることなく実現します。「Fujitsu GLOVIA OM」では、問い合わせや在庫・納期照会、マニュアル・技術情報の提供といったサプライチェーンに必要な情報のみを安全に共有することが可能です。また、サプライチェーンの活動状況や事業を見える化できるため、自社の損益情報などをリアルタイムに把握でき、ビジネス成長を加速させます。製造業において、アメリカや中国の企業がデジタルエコシステムの構築を進める中、日本の企業はデジタル化が遅れているのが現状です。「Fujitsu GLOVIA OM」はこうした日本の製造業の課題を解決すべく、デジタル化を促進し、事業者間のデータ連携・可視化を実現します。Fujitsu GLOVIA OMの特長については詳しく以下のページでご紹介しています。併せてご確認いただければ幸いです。【詳細】Fujitsu GLOVIA OMの特長についてまた、以下の動画で「Fujitsu GLOVIA OM」の特長を60秒にまとめて紹介しています。こちらの動画もぜひご参考ください。%3Ciframe%20width%3D%22560%22%20height%3D%22315%22%20src%3D%22https%3A%2F%2Fwww.youtube.com%2Fembed%2F04Jtfg1wA8M%3Fsi%3DsIpMxJmfvTHM478k%22%20title%3D%22YouTube%20video%20player%22%20frameborder%3D%220%22%20allow%3D%22accelerometer%3B%20autoplay%3B%20clipboard-write%3B%20encrypted-media%3B%20gyroscope%3B%20picture-in-picture%3B%20web-share%22%20referrerpolicy%3D%22strict-origin-when-cross-origin%22%20allowfullscreen%3D%22%22%3E%3C%2Fiframe%3E【サービスと料金】Fujitsu GLOVIA OMってどんな製品?製品カタログはこちらおわりに製造業において、販売管理システムの導入は数々のメリットを享受できるだけでなく、Salesforceなどの既存SFA/CRMと組み合わせることでサプライチェーンまでをも巻き込んだ業務効率化を実現することが可能です。自社の業務プロセスを今一度見直し、既存の他システムとの連携機能やサポート内容も検討した上で、適した販売管理システムを選定してみてはいかがでしょうか。ご不明な点があればテラスカイまでお気軽にご相談ください。